展覧会場に入って、まず目に入るのは緑の世界。
色々な草や木が描かれていて、むせ返るような題材なのに
にごりのない清澄な雰囲気に包まれます。
「叢叢賛歌(そうそうさんか)」では若葉の頃から枯れるまでの、
四季を感じることができます。
歩みを進めると、きらめくような函館の夜景。
インクブルーの都会を描いた街並みの屏風に、
まるで無数に穴を開けて後ろからライトを当てているような
立体的な輝きをみせています。
セレネ発行の「水の音」という画集にも収められていますので
またご覧になってください。
(箱根・芦ノ湖 成川美術館所蔵のものをお借りしています)
徐々に黒部を描いた絵が多くなってきます。
「流」(十字峡)、「放水」(黒部ダム)、「大地」(黒部川扇状地)、
「黒部・氷筍」、「S字峡」、
十字峡、S字峡などの取材では、自ら断崖絶壁を何時間もかけて
歩いて行かれたそうですが、こんなことを書いていらっしゃいます。
「私は高いところが苦手です。岩にへばりつくようにして写生をしましたが、
その時の怖さが出ていればいいなと思います。」
田渕先生!S字峡を観て私には全然怖さは感じられないのですが。
薔薇色に染まったS字峡、優しい母のような印象を受けます。
開催日は10月14日(月祝)まで
開館時間は9:00~17:30(入館は17:00まで)
期間中は無休。
皆様、至福の時間を味わいにきてください。